ヴィーガンやベジタリアンは野菜だけ食べているわけではありません。お肉の代わりに、豆、豆腐、納豆、肉もどき食品、ナッツなどでしっかりタンパク質を摂取しています。栄養学的に問題がないどころか、ヴィーガンになることで、余計な脂肪はそげ落ち、エネルギーが増加し、免疫力が強くなり、その結果病気にかかりにくくなるなど、素晴らしい変化がみられます。
でもお肉はおいしいし、我慢する生活なんていや、というあなたでも大丈夫! 大人になると子供の時に食べていたお菓子がおいしいと思わなくなるように、味覚は変化するものなのです。ヴィーガンやベジタリアンのほとんどは、もうお肉など2度と食べたくないでしょう。菜食をしていると味覚が鋭敏になり、体が喜ばないホルモン剤や薬物漬けのお肉など、もはやおいしい味ではなくなってしまいます。食べたい物を食べながら、身体を菜食に合わせていくには、次のステップがおすすめです。これは肉食の家族の方を菜食に慣らすことにも有効です。
家畜の中でも、牛が最も環境を悪化させています。そして大きい動物ほど、脳も発達しているのであれば、苦しみも大きいでしょう(実は豚の知能も高いのですが)。牛肉をやめられたら、次は豚肉、そして鶏肉、というように、徐々に大きい動物からやめてゆきましょう。または、お肉の日を減らしてお魚の日を増やすことも良いでしょう。そして毎日少しずつ、お豆腐や納豆などの豆製品のお料理を採り入れるようにしましょう。
もどき肉を使えば、メニューに困らず、これまで通りの調理方法で菜食ができます。 水で戻すものや、すぐに使える缶詰タイプもあります。週に1日、慣れたら2日と、無理なく菜食の日を増やしてゆきましょう。また牛乳の代わりには豆乳がいいでしょう。豆乳が苦手という人でも、慣れればおいしく感じるようになるものです。メーカーによって味が違うので、いろいろ試してみましょう。
もどき肉料理に慣れたら、豆料理に挑戦してみましょう。スーパーに行けば、大豆だけでなく、レンズ豆、ひよこ豆といった、海外でもポピュラーなお豆が売られています。カレーやシチューに入れるお肉をレンズ豆やひよこ豆にしてみましょう。レンズ豆は浸水せずにすぐ使える上、鉄分が豊富で栄養満点です。ひよこ豆もホクホクとジャガイモのような食感です。バラエティに富んだお豆料理に挑戦してみましょう。
精製されていない穀物にはミネラルやタンパク質が豊富に含まれています。なるべく玄米や全粒粉を摂るようにしましょう。
1.最初のうちは加工食品の成分まで気にするのはやめましょう。
2.インスタントものやお菓子・ケーキ類など、全て排除してしまうと、負担が大きくなります。我慢しなくても、菜食をしていると、そのうち添加物漬けのものを食べたいとは思わなくなります。その時にやめればいいでしょう。
3.菜食レストランへ行って、プロが作る菜食メニューを試してみましょう。お肉を使っていなくてもおいしいお料理がたくさんあります。
あらゆる種類の豆類、ナッツ、玄米や全粒粉などの精製されていない穀物、果物、野菜を食べること。
植物性だからといっても、マーガリンやショートニング、ファットスプレッドなどに含まれるトランス脂肪酸は体によくありません。また揚げ物にもトランス脂肪が含まれていることがよくあります。これらの食品は極力避けましょう。
菜食ではビタミンB12が不足すると言われています。 ビタミンB12を豊富に含む海苔などを積極的に食べましょう。一方、ビタミンB12は腸でも作られており、外部から摂取しなくても問題ないという説もあります。しかし実際欠乏症のケースもあがっているので、妊娠女性はもちろん、自信のない方はなるべくサプリメント(10mcg/日)や強化食品(シリアルなど)で補いましょう。
太陽光はビタミンDの最善の源です。温かい季節や地方では、顔と前腕(肘から手首)を一日15~20分太陽にさらせば、皮膚は十分なビタミンDを生成します。しかし寒く曇りがちの季節や地方ではマルチビタミンやビタミンDサプリメント、または強化食品で補充したほうがよいでしょう。また真夏でも滅多に太陽を浴びなかったり、常に日焼け止めを塗っているのであれば、ビタミンDを補充したほうがよいでしょう。
上記のポイントを抑えて、豊富な豆、ナッツ、精製されていない穀物、果物、野菜に、ビタミンB12とビタミンDを補充すれば、健康な肉体に必要な栄養素は全て満たされます。しかし外食が多く、毎日栄養ある食事を摂ることが難しいのでしたら、マルチビタミン剤で補うことも選択肢の一つかもしれません。以下はベジアリアン/ヴィーガンによく質問される栄養素についてです。
大豆をはじめとする豆類、ごま、アーモンド、切干大根、ひじき、わかめや昆布、緑黄色の葉もの野菜(水菜、小松菜、ケール、大根の葉、ほうれん草)、黒砂糖など、植物界にはカルシウムを豊富に含む食材がたくさんあります。乳製品の代わりにこれらの食品を選ぶことで、牛乳による健康被害を避けることができます。
ヨウ素は健康な甲状腺機能に大切な微量元素で、海藻に多く含まれています。昆布やひじき、わかめを常食としている日本人にはまず問題なく、またほとんどの国で食卓塩にヨウ素が添加されています(ただし加工食品のナトリウムには通常ヨウ素は含まれていません)。
鉄はひじき、わかめ、昆布、豆類、ごま、松の実、かぼちゃの種、小松菜、ほうれん草、シリアル、全粒粉など、その他多くの植物性食品に含まれています。特にビタミンCを一緒に摂ると、鉄の吸収率が良くなります。実際、菜食者と肉食者の貧血のレベルに何ら著しい違いはないと言われています。またハーバードの研究では、肉に含まれる鉄は糖尿病を引き起こす危険度を上げますが、植物性の鉄にはそれがないと指摘しています。しかし若い女性は肉食か菜食かにかかわらず、貧血にかかりやすいので、鉄を含むマルチビタミンで補充するのも良いでしょう。
オメガ3脂肪酸は、魚から摂るより、植物から摂る方が安全です。エゴマ油(しそ油)や亜麻仁油、クルミなどに豊富に含まれていますから、これらを積極的に摂りましょう。オメガ3脂肪酸は熱に弱いので、冷蔵保存し、加熱せず、生でサラダなどに使いましょう。
タンパク質は豆類をはじめ、精製されていない穀物(玄米、全粒粉など)、ナッツ類、野菜などにも多く含まれています。かつては十分なタンパク質の価値を引き出すためには、あらゆる植物性食品を同時に摂る必要があると信じられていましたが、現代の研究でそうではなかったことがわかりました。菜食は体が必要とするタンパク質を全て満たしてくれます。植物はたいてい健康に良い繊維質や複合糖質も含んでいます。動物性食品はまた動脈を詰まらせるコレステロールや飽和脂肪も含んでいます。そして動物性タンパク質の摂取はあらゆる癌に結びついていきます。さらに動物性タンパク質の高い硫黄含量は人間の骨を弱くする可能性が示唆されています。