ロサンゼルスより最新ヴィーガン事情をレポート!
( 2011/7 by Ken )
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6.「生きる意味」を創造する牧場







ここ Gentle Barn は、「牧場」といっても食べるために動物を育てる場所ではありません。人が動物を救い、動物が人を救うという素晴らしい施設なのです。カリフォルニア州にファーム・サンクチュアリ(家畜動物のレスキューセンター)は4ヵ所ほどありますが(ここ以外では Farm SanctuaryAnimal PlaceAnimal Acres)、ここでは更にレスキューした動物たちに第二の人生を与え、障害者、非行者、虐待児のために役立っているのです。

どうやって? それは、そのような方々に動物のケアをしてもらうのです。障害を持っていても動物のケアをすることは十分に可能で、動物たちもケアされることを素直に喜ぶので、自分たちでも何かができるという自信を持つきっかけになります。積極的にケアをすることで運動機能の回復にもなります。

虐待を受けた子供や、社会からドロップアウトして施設に預けられた子供たちも、ここに来ると変わります。家畜動物たちが自分たちと同じように不幸な境遇で育ったことを知り、そのような動物たちをケアしたいと思うようになります。ここに来るときには社会への怒りや "自分は必要ない" という想いを抱いていますが、動物たちのケアをすることで生き甲斐を持つようになります。しかも、人間に対して強い不信感・恐怖を抱いている動物たちが立ち直っていくのを見ることで、心理カウンセリングよりも効果的に回復していくのです。

大人の軽犯罪者もいます。麻薬などでつかまると裁判所の命令で教会の奉仕活動に従事しないといけないようで、その一環でこの施設に派遣されることがあります。彼らもここでは献身的に動物たちのケアを行い、多くの方は決められた期間が過ぎた後もボランティアを続けるようです。

動物たちも、畜産工場にいた頃は「動物」として扱われず、全くひどい状況に置かれていました。気が狂うのも当然です。それがここにレスキューされた後は、心身のケアを受けて元の自分を取り戻し、仲間とともに自由に楽しく生活ができるのです。しかも、第二の人生を与えられ、人間をも救うことになるのです。

まさに、「生きる意味」を創造する牧場なのです。ここに来れば動物たちも、傷ついた人たちも「生きる意味」を取り戻せるのです。

このような素晴らしい施設を10年ほど前に作ったのはエリーという女性です。実は彼女も小さい頃、親から放棄された経験を持ち、動物に癒されていた彼女はいつかこのような施設を作りたいと夢見ていて、特殊教育を大学で学んだのちに作ったのです。情に厚く、エネルギッシュで素敵な女性です。今では、やはり同じ境遇を持つ夫のジェイさんとともに運営をしています。集めた資金をプライベートに流用することも一切なく、質素な暮らしで、全てを施設に注いでいます。

そして、ここを支えているのはフルタイムスタッフ10人ぐらいとボランティアの皆さんです。一般開放をしている日曜日には、近所の小学生ぐらいの子供たちもボランティアしてくれます。そして、毎週多くのボランティア希望者が出てくるので、スタッフに困ることはありません。資金や餌などは全国から寄せられ、こちらも潤沢にあるようです。

エリーさんはこのような施設を全国・全世界に作りたいと言います。日本にも必要な施設です。ぜひ作りましょう!

次は、日本と比較して L.A. のよいところをまとめたものです。

7.6対0で負けてるニッポン